大学院選び

前から書き溜めていた記事を放出します。
私がなぜそもそもオハイオを選んだのか不思議に思っている方もおられるかもしれません。これは大学院に申請する前の大学4年生の春にさかのぼります。当時の私はアメリカのことを何も知らなかったので、とりあえず手当たり次第にアメリカの事情を知っていそうな人(主に同じ学部内)を探しては話を聴いていたのですが、当時パリにいた叔父さんがアメリカの中西部を勧めていたので、「そんなら中西部の大学で調べてみっか」ということになったわけです。3年生の終わりの研究室配属時に希望の研究室にジャンケンで負けて入られなかったので、その悔しさから私は大学院は絶対そこと関係のある研究をしてやると心に決めていました。ついでにどうせならその当時流行りの分野も合わせたような研究がしたいな、と思っていました。かなり単純ですね。そこでPubmedなどをとりあえず検索してみてヒットした教授の所属を見て、中西部にある大学でそういう分野の研究が盛んそうな大学を探したのです。
でも、今思うことは、大学院選びではあまり研究分野を絞ることはあまりお勧めしません。申請時のエッセイでは多少は絞って自分ならどういうことをするかとか、自分がどういうことを将来やりたいかなどを書いたほうがいいですが、今私が行きたい大学院を探すとすれば、まずはScienceやNatureのNews&ViewsやPerspectivesをもとにして、自分は何が一番面白いと思うのかをじっくり見定めます。その分野は広くてもいいのです。大雑把に化学や分子生物学や生化学とかで分けてもいいと思います。でもこれも英語の読解能力が無ければ一つの論文を読むのに数時間もかかったりするので、論文を読む訓練も必要です。
そういう意味で、私は大学院探しを始めたのは4年生になってからなのですが、少し遅すぎました。今海外大学院を希望する大学生に会えるなら、少なくとも3年生から始めることを勧めます。できれば1年生のときから英文の雑誌(別に科学雑誌である必要はない)を読むように努力していればかなり楽になると思います。でも1年生のときから将来は留学して研究者になるんだ、と決めている人はそう多くないと思いますし、私も将来のことは漠然としたイメージしか持っていなかったので、ここまで計画して行動できる人はほとんどいないと思います。でも潜在的には、大学院留学の情報を早い段階に多くの学生に与えることができるなら、「海外留学したい!」という大学生はかなり多くいると思うのです。ただ単にあまり知らないからどうしていいかわからないし、自分で色々調べるほど将来を決めているわけでもないという場合が多いはずです。具体的に海外大学院留学が卒業後のオプションとして学生に検討されるようになれば、日本の大学院(と文科省)ももう少しがんばるようになると思うのですが。
あと、「ランキングより研究室で選ぶべきだ」という意見がありますが、私としては大学院生の時点では大学院のランキングは多少気にしたほうがいいと思います(U.S. Newsが提供しています)。ただし前に書いたように、日本の大学院との比較はあまり意味がないのでしないほうがいいでしょう。アメリカ内の大学院で比較してください。同じような順位(+/-10位ほど)の大学で選ぶのなら、研究室で選ぶのがいいでしょうが、順位が大きく離れていたりするなら、たとえ下位の大学院の研究室が面白そうだと思ったとしても、上位の大学院を選ぶことをお勧めします。あと自分の実力を知ることも重要です。GPA(Grade Point Average、大学の成績)は大学院に入るときには非常に重要です。例えばGPAがほぼ4(つまりほぼ全部「優」)でなければ、ハーバードに行こうとは思わないほうがいいと思います。ここらへんはアメリカの大学院に詳しい人に聞かないことには自分では中々わからないと思いますが。
アメリカの大学院にはローテーションといってお試し期間があるので、プログラムにアクセプトされるとそのプログラム内の研究室から比較的自由に選ぶことができるのです。なので、プログラムに入ってから自分の興味が変わることも往々にしてありますし、目的の研究室が学生を取らないこともあるのです。私も、「この研究室に入りたい!」と思って教授とコンタクトを取ったりしていたのですが、来てみるとその研究室は人が一杯で「今年は学生は取らない。」といわれて肩透かしを食らいました。というわけで、どうしても行きたい研究室があるなら、そこにコンタクトを取って詳細な情報を聞き出してから決めましょう。